久高島

突然決まった旅だった。

久高島の事をほとんど知らずにここにきた。

那覇からここに向かう道中はとてもスムーズで、

久高島に着いてからは素敵な出会いがたくさんあった。

昨日の夜はイラブーが効いたのか半覚醒でよく眠れなかった。

朝。

曇り空。

宿から徒歩数分のビーチへ
太陽は見えないけれど美しい朝。

島の人が来て祈りを捧げていた。

静かな浜。

一人だなぁ。と思う。

寂しくはない。

日の出の時刻。
私も手をあわす。

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チェックアウトまで宿で休もうと思っていたのに、
イラブーがまだ効いているのか、そわそわと落ち着かない。

早めに宿を出発。
小雨が舞う中、貸し自転車を借りて島の北側へ向かう。

やっぱり道がわかりにくい…

気がつけばお墓の前で、
そして舗装されてない道を進むことに。
なんだか怖い感じがする。

自転車を一生懸命漕ぐ。

雨が止んだ。

久高島一番の聖地と聞いた

「フボー(クボー)御嶽」

の看板が見えた。

とても怖い感じがする。

自転車を停めたけど降りられない。

自転車を跨いだまま手をあわす。

この場所にとどまることができない。

そしてまた北へ向かって自転車を漕ぐ。

怖い感じが収まらず

涙が出てきた。

とにかく怖い。

すごく怖い。

(これを書いてる今も思い出して怖くなった)

島の北端まで行くつもりだったのに、途中で

無理だ。

と思ってしまった。

引き返したら舗装された道を見つけた。

港でもらった地図によると、
この舗装された道は「フボー(クボー)御嶽」の前を通らないようなので、もう少しゆっくり観光しようと
「ヤグルガー」という場所へ
海がとても綺麗だ。

海から上がってくる風が耳元で不思議な音になる。

気をとりなおして、
もう一度「フボー(クボー)御嶽」へ行ってみようとしたけど、
また道の途中でとても怖くなってやめた。

帰りは舗装された道を引き返すことができた。
舗装された道を北へ進む2、3組の人とすれ違って、
挨拶をしてたらようやく涙がとまった。

集落へ戻ってきた。

昨日一緒にビールを飲んだオリオン友達のおじちゃんに偶然出会った。

「今日帰るのか?またおいでよ」

と言われて、
とてもほっとした。

あんなに怖かったのに

また来たい。

と思っている。

はい。また来ます!お元気で!

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宿に預けていた荷物をピックアップして、
フェリー出航までブランチ。
昼間の時間しかやっていない食堂「けい」さん。
店主のおばちゃんと島の話をしながら、沖縄そばを啜る。
店のBGMにSarah VaughanのA Lover’s Concertoや、60年代のアメリカ音楽が流れている。

「サータアンダギーも持って行きなさい」

沖縄そばを汁まで飲み干し。
お土産のサータアンダギーをリュックに詰めて店を出たら、やっと心が落ち着いていた。
久高島フェリー待合所にも猫がいた。

帰りの船は高速船。
乗り場に行ったら、
昨日、海ぶどうをくれたオリオン友達のおじちゃんがいた。

お礼を言って、少しお話しをした。

「またすぐにおいでよ」と言われた。

島から離れがたくなってきた。

出航の時間にまた雨が降り出した。